コンセプター・和田健司さんによるエッセイ「love letter from K」。
KOZでのお買い物がもっと楽しくなるヒントをお届けします。
Season8「な気分」
カラーな気分
夏がやってきました。そして、LLFKにも新しいシーズンがやってきました。今までは、各シーズンごとにテーマを設け、様々な視点からそれを深掘りしてきましたが、次は少し趣向を変えてみようと思います。
Season8のテーマは「な気分」。
人間は、移り気な生き物。僕らは日々、思いつきや直感 、様々な感情をタイムラインのように流しながら生活しています。そんな、ちょっとした瞬間に湧いた感情を「○○な気分」にして軽快に綴っていきます。「あぁ、確かに、今そんな気分だわ。」なんて思いながら読んで頂けたら本望です。そして、今シーズンから1話の終わりに、KOZLIFEスタッフさんのコメントコーナーがスタート。関連する商品なども時々登場するかもしれませんので、お楽しみに!
空の色
先日、家族の行事のため少し早めに夏休みをもらい、沖縄へ行ってきました。梅雨明けの太陽から来る、ビリビリする日差し、海風が常に吹いているせいか、雲が動くのが早い。いつ来ても同じ表情で出迎えてくれる沖縄の空は、青が濃い。
暑いので、一刻も早く海ってリゾート感を楽しみたい!なんて海ばかり見ていて、今まで気にしていなかったのですが、沖縄の道路って淡いグレーなんですよね。考えてみれば、家の近くはこんな淡くないし、アスファルトって重苦しい色のイメージ。淡いグレーの道路に、淡いブルーの歩道橋、これだけで、少しカラッとした気分になります。沖縄は川が少ないので砂利が取れず、代わりに石灰岩を使っているから白っぽいそう。
にしても、やっぱり沖縄は、青の使い方が上手いですね〜。空の青さに合わせるように、木々の緑も濃い。そのバランスの間を縫って、朱色やグレーの建造物が並んでいます。日に焼けてしまうから、かもしれませんが、全体が淡いトーンでまとまって、なぜか爽やかなんですよね。
ブルーに合わせるのは
同じ青い空でも、位置が変わると、全く違う印象になる場所があります。それが、メキシコ。沖縄が淡いトーンの風景ならば、こちらはコバルトブルーの空に、深いグリーンのサボテンや草花。そして、カラフルな建物がずらりと並び、絵の具のパレットのような街並みをしています。こんなにたくさんの色が溢れていたら、ごちゃごちゃした風景になってしまいそうですが、何故かいい感じなのです。不思議。そんな中でも、僕が特に大好きなのが、ピンクの使い方。
メキシコの現代建築家ルイス・バラガンが建てた建築の写真を見れば、これが日常の風景に存在している事を疑うくらいビビット。一面ピンクの壁や、ショッキングイエローの大きな額。見ているだけで、心が明るくなります。ここに住んだら、人生観も変わりそう。本当に一度訪れてみたい国のひとつですね。
気分はもうメキシコ。何か今の自分にもカラーを取り込みたくなってきちゃいまして、先日小柴シェフに教えてもらった、都内のメキシコ料理店へ。味の強いメキシカンは数あれど、ここの味付けは家庭的でとっても優しく、それがめちゃめちゃ美味しい。何度もリピートしたくなる魅惑のレストラン。
ピンクの内装に囲まれながら、食べるメキシコ家庭料理。ギターや骸骨のオブジェを眺めながら、タコスを頬張る。
食事中は、出てくる個性的な食器にも目が行きます。中央にドンと置かれる料理はカラフルな色や柄を施した装飾的な物ばかり。
これは溶岩でできた器のよう。めっちゃ個性的&重い。料理はサボテンのサラダ(右)とワカモレ(左)。見た目とは打って変わって、とっても優しい味付け…だけど辛い!
ちょっと塗装が剥げたりしたお皿も、お構いなしで出てきます。が、これが妙に良い雰囲気に見えるのがさすがメキシコスタイル。インパクトのある大皿から料理を取るのは、プレーンな白い丸皿。この組み合わせがコントラストがあってまた良しですよね。食卓の真ん中には、色のある大皿。取り皿は白。これは、家でも真似できそうです。
カラーな気分
お店からの帰り道に脳内にこんな曲が流れる。“指についた、ライムの匂い、嗅ぐとメキシコ、行きたくなーる。冷静になれよ〜♪ ミ・アミーゴ。” 夏が暑いのは当然で、暑い暑いって言っていても涼しくなるわけではないし、こういう時こそ、色の持つ「涼や元気」を取り入れて、沖縄やメキシコのように楽しく過ごさなきゃ!良い事を教えてもらったなぁと帰宅し、早速家の食器棚を覗いてみるのでした。
つづく
スタッフコメント
夏のカラーって可愛いし、情緒あふれるものもあって良いですよね~。涼し気な淡い色合いもいいし、濃いめでパンチのある色合いも元気をくれる気がします。「色から心と体を元気にする」に挑戦したいと思いました。
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和田 健司
オランダDesign Academy EindhovenにてDroog Design ハイス・バッカー氏に師事、コンセプチュアルデザインを学ぶ。 同大学院修士課程修了。大手広告代理店勤務の後、2011年 “what is design?”を理念とする(株)デザインの研究所を設立。研究に基づく新たな気付きを、個人から企業まで様々な顧客に価値として提供し続けるコンセプター。(インスタグラム:@k_enjiwada)